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理事長のあいさつ

理事長

 機構は、2005年の発足以来、日本の産業基盤・生活基盤の一つである高速道路サービスの拡大、保全の充実を支援しつつ、それらを支える資金調達と債務の返済を通じてアセット・マネジメントとデット・マネジメントを担ってきました。

 2023年10月で機構発足から18年を迎えたところですが、着実に高速道路の整備は進み、機構発足時に8,948kmだった供用延長が、2022年度末には10,405kmになりました。この間、債務返済規模は、2010年代前半までは約4兆円の規模が続き、2020年代に入り約3.5兆円で推移しています。一方で、資金調達規模は2000年代後半の3兆円規模から、2020年代には約1兆円規模へと縮小しています。また、債務残高の減少等に伴い1年間の金利負担は当初の約6,000億円規模から約3,000億円へと半減しています。

 これまでに通算約730回の起債を実施する中で、マーケットとの対話を積み重ねながら投資家層の拡大に努めるほか、将来の金利上昇リスクを少しでも軽減する長期/超長期年限の発行等による調達年限の多様化、ソーシャルポンド(社会貢献債)の発行等による調達の円滑化を図ってきました。

 また、高速道路資産を保有し、これを高速道路会社に貸し付けるにあたり、高速道路のサービスレベルについて安全性、快適性の維持・向上に十分に配意しつつ、その貸付料収入等で将来の債務返済が着実に進展するよう取り組んできました。その結果、機構発足以来、年度ごとのアップダウンは多少あるものの、概ね10兆円弱債務残高を減少させてきました。

 今後は、国際情勢の変化、自然災害の激甚化・頻発化等の新たな経営環境における不確実性の高まりが予想されます。それに伴い、金融市場の動向も従来のように一貫した低金利環境とは異なり、ボラティリティが更に高まることが想定されます。また、長い間継続してきた金融緩和局面がいずれ出口戦略局面に転換することが見込まれます。そのような中で、いかにキャッシュ・フロー管理を中軸としたデット・マネジメントを巧みに行使し続けるかが最大の事業課題であると認識しています。また、高速道路の機能を将来に渡り維持するため、抜本的な性能回復を図る更新事業、国土強靭化等の社会的要請を踏まえた進化・改良が求められている中、本年には道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部が改正・施行されました。今後は必要な財源の確保等により、高速道路の適正な管理や機能強化に、国及び会社と一体となって取り組んでまいります。

 日本の経済・社会における高速道路の役割は、グローバル化、IT化が進展し、自然災害等の社会的リスクが拡大する中で、今後もますます重要になっております。機構においては、事業課題への取組みを集約したアクションの策定・実行と、道路・財務のプロ集団化へつなげる人材育成を推し進めることにより、安全で利便性の高い高速道路サービスを、国民負担を軽減しながら適正な料金で提供し続けることに貢献してまいります。

独立行政法人
日本高速道路保有・債務返済機構
理事長 高松 勝

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